校長



  今、歴史と伝統のさる「我が第五吾嬬小学校」が幕を閉じようとしている。我が第五吾嬬小学校は、地域とともに「我らが学校」として75年間という長い道のりを歩んできた。第五吾嬬小学校を愛し、第五吾嬬小学校で同じ時を過ごし、そして、第五吾嬬小学校にかかわりのあった全ての方々にとっては、閉校とはこんなにも寂しさを深く感じさせ、推し量ることのできない思いをもって閉校を迎えることになった。

 適性配置制度での統廃合での閉校と新校設立の報を知らされてから今日まで、閉校という2文字に押し潰されそうな気持をぐっとこらえ、今まで以上の熱き情熱を奮い立たせ、「最後の1日まで精一杯子どもにかかわっていこう」という言葉を合言葉に、第五吾嬬小学校の教育を地域と保護者と教職員が心を合せ一丸となって邁進してきた。その思いを十分に汲み取り、子どもたちもそれに応えて十分の活躍を示してくれた。従って、子どもたちは、一抹の寂しさは隠しきれない様子はあるが、胸を張り自信に満ちた顔で新校に巣立っていってくれることが何とも嬉しい。

 顧ると、昭和2年4月1日、東京府南葛飾郡第五吾嬬尋常小学校として開校以来、75周年を迎え、その間9,286名の卒業生を世に送り出した。その卒業生は、各界で目覚しい活躍をしている。第五吾嬬小学校が誕生し歩んできた75年間という歴史は、開校、戦災、復興、発展ということで綴られる。時の流れとともに苦難や試練が数多くあった。その都度、地域やPTAや同窓生の方々の学校に対する多大なるご理解・ご協力と歴代の校長先生を始め教職員の方々のご努力とにより、よりよき方向へと乗り越え着実に発展してきた。その地道な努力に感謝の言葉をいくら重ねても感謝しきれない。

 閉校の時を前にして、新たに強く思うことは、本校の学校教育目標を「
よく考える子・進んで働く子・仲良く助け合う子・思いやりのある子・からだをだいじにする子」と掲げ、日々、子ども一人ひとりの豊かな人間性の育成に努めてきたことに、卒業生や在校生の日常の姿から誤りがなかったと感じ取ることが嬉しい。また、今後の人生においても豊かな人間性を高めることに励み続け高く大きく伸ばし続け、幸せな道を歩んでいってくれるであろうと信じられることが嬉しい。さらに、今まで築きあげてきた第五吾嬬小学校の歴史と伝統が脈々と受け継がれ、必ずや、新しく誕生する「八広小学校」の新たな歴史と伝統づくりの基になるであろうと信じることができることも嬉しい。

 「さあ、第五吾嬬小学校の子どもたちよ。胸を張って堂々と自信を持って、何事にも挑戦し続けよ。そして、己を磨き、人生を豊かに生きよ」。と大きな声で叫び、大きな拍手で、新たな学校へと出発させてやりたい。

 最後になりましたが、75年間という長い年月にわたって、本校を支え、見守り、深く熱きご支援頂きました地域、PTA、同窓諸氏、区当局及び関係諸機関、また、統合に向けてご配慮、ご尽力頂きました全ての方々に心より感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございます。