川にも交通標識







 平成10年11月8日、足立区、墨田区、葛飾区の3区にまたがる4km区間に、道路標識と同じように、荒川にも交通標識が全国に先駆けてはじめて。モデル的に設置されている。この4km区間に、いくつかの鉄橋が架かり、中には船の航行に支障をきたすほど低い橋がある。

 綾瀬川、隅田川の支川を横断する船もたくさんあり、この区域に新しく作られた43種類の航行標識のうち、9種類39枚がすでに設置されている。国道4号線の千住大橋には2×2mの大きさの標識が設置されている。あ

 荒川を航行する船で比較的大きい船が急停止できる距離をもとに、余裕をもって標識が確認できる大きさにしてあり、新しいルールが出来ると、この標識に沿って安全航行が出来るようになる。

 荒川と隅田川は、東京の下町を南北に貫く川で、建設省は、この2つの川の間を東西に流れる内部河川の小名木川と荒川との間に、水位調整の閘門『ロックゲート』をつくり、新しく水路を開き、20年前陸運が主流になり、利用率が減少したために小名木川閘門は閉鎖されたが、阪神・淡路大震災の教訓から、水路の活用が注目され、内部河川が残る下町に舟運が復活することになった。これが完成すると荒川から直接、墨田、江東、江戸川の3区が水路で結ばれる。

 これらの水路網が完成すると、災害や緊急時には民間の事業者も加わって共同作業を行うようになる。普段から川を知り活用することに慣れていくことが必要で、荒川のリバーステーション(船着場)は、公共的な運用だけでなく、民間の利用者も広く活用していくための検討を進めている。

 荒川の下流には12の鉄道が横切っているが、東京を中心にして放射線状に荒川を横切っている。首都東京を流れる荒川は、鉄道と非常に密接な形で交差し、JR総武線・平井駅、JR常磐線・北千住駅、JR京浜東北線・川口駅、JR埼京線・北赤羽駅と交差し、北赤羽駅は、荒川の支川である新河岸川の船着場の上になっているが、将来、舟運と陸上交通の連携も可能になるだろう。

 鉄道と荒川を結ぶ地点として、リバーステーションを活用することによって、首都圏の新しい人流、物流がスムーズに輸送できるように、すでに『鉄道交通体系と連携した、リバーステーション検討委員会』が発足している。運輸省の各部局、JR、営団地下鉄、東京都交通局との間で具体的な検討が行われている。

 水上バスの運行も今では盛んになって、埼玉県の秋ヶ瀬(浦和市)から東京湾の葛西臨海公園まで、朝夕数便が定期的運行している。また、荒川から隅田川を経由して、東京湾周遊ルートもあり、水上バスのほか屋形船で花火見物や川遊びを楽しんだりする人が増え、船が利用しやすくなった。

 荒川の12ヶ所のリバーステーションの設置が予定され、すでに着工されて利用されているところもあり、リバーステーションは、国と事自体の共同事業で行われ、400dクラスの貨物船が接岸できるように設計されている。

 河川舟運の活性化といっても、明治初期までの舟運を蘇らせるものではなく、道路や鉄道が未発達な時代と今のように誰もがマイカーを持ち公共交通を利用して、数百円で都内を移動できる時代と比較すると、舟運の持つ役割は違う。

 しかし、主要交通として、人物を運ばなくても荒川から『川の道』という機能が消えたわけではなく、ストレスの多い都市社会の中の余暇利用など、荒川は『安全』と『ゆとり』の観点から年の巨大な公共空間、生活空間であり、さらに、災害対策の必要性が痛感させられる今、潜在能力の点で将来の大きな可能性を秘めた運輸力(陸運、海運と共に川の運輸・舟運)としての役割は益々大きくなることでしょう。